2012年7月31日火曜日

国際植生学会で南蒲生モニタリングの成果・意義を検討

 2012年7月23~28日、世界各国から300名を超える植生学研究者が韓国モッポ(Mokpo)市に集まり、第55回国際植生学会が開催されました

 私たち南蒲生モニタリングネットワークの植物・植生グループは、7月27日午前の特別セッション「SS10 Impact of the Great East Japan Earthquake and subsequent tsunami of 11 March 2011 on coastal vegetation and landscapes of Northeast Japan」で、3つの講演を行いました。

 もともとこの特別セッションは、「東日本大震災、とりわけ巨大津波が、海岸領域の自然環境や地域景観(人間の営みを含む)に与えた影響を世界に向けて紹介し、各国から参集した植生学研究者から調査・影響評価の進め方についてコメントをいただくとともに、よりよい復興を実現するための先行事例・アイデアを収集したい」との想いから、東京農業大学の中村幸人教授とともに、準備を進めてきた企画でした。正直のところ、大きな会場で、英語で発表という雰囲気に緊張してしまいましたが、セッション後の個別的交流を含めて、有意義な情報交換が実現できたと感じています。
国際植生学会での発表風景(2012年7月27日,木浦).

 なかでも、タイから参加したKitichate SRIDITH博士が発表した「2004年末、スマトラ沖地震に伴う巨大津波で被災した砂浜海岸エコトーンの植生変遷」に関する研究成果は、とても興味深いものでした。タイ南西部と東北地方太平洋岸では気候条件は大きく異なりますが汀線から沖積平野に至る砂浜海岸エコトーンの微地形や立地の推移そして植生配列には少なからぬ生態的共通性があることを認識するとともに、被災した郷土種が確実に再生していくプロセスを垣間見ることができました ・・・・・ ある高木種が、「被災後3年ほどしてからようやく、枯死状態の幹・枝から新しい枝を一斉に再生させた」というエピソードには驚かされました。
Kitichate SRIDITH博士による発表(2012年7月27日,木浦).

 海外の研究・復興事例から学ぶべきことはたくさんあり、また逆に、私たち自身の活動を世界に向けて発信していくことの重要性を感じての帰国となりました。


Y.H.

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